プロテインシーケンサで分析するサンプルの調製についての注意
(分析できるかどうかはサンプルの調製にかかっている!)

1.液状サンプルの場合,緩衝液がはいっていてはいけない。
  Edman 分解反応では pH を上下するが,緩衝液が入っているとそれを阻害し,正常な反応が進まなくなる。最終精製として最も好ましいのは,逆相HPLC(揮発性溶媒,たとえばTFA/CH3CN,を用いる)である。ゲルろ過や透析を最終にするのはコンタミの原因になる。

2.サンプルの純度が十分であること。
  何らかに方法で純度が保証されていないと,結果の解釈を誤る恐れあり。

3.PVDF 膜にブロッティングしたサンプルの場合,膜の取扱に注意。
  必ず手袋をして,きれいなピンセットと鋏を用いて装置にセットすること。手はアミノ酸の宝庫。アミノ酸による汚染によって最初の2,3残基は読めなくなることが多い。


◆解析上の注意

1.シーケンスが読めない場合
 N末端がブロックされているかサンプルの量が足りないか。判断は分析に供したサンプルの mol 数が重要(分子量とタンパク量が推定されている必要がある)

2.途中のサイクルで読めない場合
 Cys,修飾アミノ酸,回収の悪いアミノ酸(Trp, Ser, Thr

3.分子量の大きなタンパク質の場合
  サイクルが進むにつれてバックグランドが大きくなる場合が多い。長く読めない。

4.Pro が多いと切断反応の効率が悪くなり,長く読めない。

◆参考書(配列解析を行う前に必ず読んでほしい)
1.新生化学実験講座1 タンパク質 II 一次構造,日本生化学会編,東京化学同人,p152-181.

2.遺伝子クローニングのためのタンパク質構造解析 ブロッティングとシークンシング 平野 久著,東京化学同人.

                 (プロテインシーケンサ担当:鈴木道生、黒岩真弓)

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